基本のお金の知識

不妊治療中や出産時に申請したい医療費控除の基本

不妊治療中や出産時に申請したい医療費控除の基本

 

こんにちは、ミレーユ先生です。

不妊治療を経て3人の子どもを授かった経験を活かし、妊活中&育児中の女性に向けたお金の知識を発信しています。

私は不妊治療中や出産の際、納めた税金を取り戻してきました。
そのうちの一つが医療費控除です。
不妊治療中や出産した方向けに医療費控除の基本について分かりやすく解説します。

今年初めてという人も、やったことがあるという人にも、少しでも参考になると嬉しいです。

不妊治療中や出産時に申請したい医療費控除の基本

医療費控除とは

医療費控除とは、会社員の場合、確定申告によって1年間にかかった医療費が一部還付金として返ってくる制度です。
自営業の場合は税金負担が軽減されます。

まずは医療費控除が申請できるかどうかを確認してみましょう。

医療費控除の対象になる人

医療費控除を受けられるのは、その年の1月〜12月までの間に10万円以上の医療費を支払っている世帯となります。

医療費控除の対象になるもの

医療費控除の対象となるもの、ならないものについて、分類してみました。

  • 病院に払った診察費、治療費、入院
  • 医師の処方箋による薬の購入費
  • 治療のための市販薬、漢方薬の購入費
  • 治療のための鍼灸・マッサージ費用※
  • 保険適用の不妊治療費
  • 自由診療の不妊治療費
  • 卵子凍結保存料・保管料
  • 妊婦定期健診費
  • 分娩費用
  • 医師や助産師による母乳外来等の保健指導
  • 通院のための交通費(電車やバスの利用のみ)
  • 緊急時のタクシー代

※鍼灸・マッサージ費用については鍼灸師、柔道整復師などの国家資格をもつ方の施術に限ります。

医療費控除の対象にならないもの

  • 自分で買った排卵検査薬、妊娠検査薬代
  • 予防接種等(医師の判断による実施は対象)
  • 健康増進のためのサプリメントや健康食品
  • 車通院の場合のガソリン代や駐車場代
  • 自分の希望による入院時の差額ベッド代や個室料
  • 里帰り出産時の交通費
  • 入院用に購入したパジャマや洗面道具などの費用
  • 赤ちゃんのおむつ代、ミルク代

控除の対象となるために重要なのは、病気の治療のためのものかどうかという点です。
そのため、例えば病気の治療のため医師の指示でサプリメントを買ったという場合には医療費控除の対象になります。

対象となる費用が分かったところで、今回は医療費控除で戻ってくる金額を計算してみましょう!

実践!医療費控除を計算してみよう

まず初めに、医療費控除の対象となる金額をこの式で算出します。

1年間に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円(※)

※所得金額が200万円未満の人は「所得金額×5%」の額

「保険金などで補てんされる金額」とは、入院時に受け取る医療保険の入院給付金や、医療費が高額になった際に一部を払い戻してもらえる高額療養費などのことを指し、不妊治療費助成金出産育児一時金も含まれます。

不妊治療助成金を受けた時の計算は?

例として、体外受精を行って50万円を支払い、特定不妊治療費助成金30万円を受け取った場合はこのようになります。

50万円-30万円-10万円=10万円

計算すると10万円が医療費控除の対象になります。

(所得金額が200万円以上の場合)

この10万円がそのまま返ってくるわけではなく、この金額に対して所得税と住民税の一部が減額されるという仕組みになっています。

医療費控除の申告で返ってくる金額は?

医療費控除の申告により、給与から引かれた所得税が返還されます。

所得税の税率は5%~45%で、所得が多い人ほど税率が高くなるので、返ってくるお金も多くなります。

ではここで、所得が異なる2人で違いを確認してみましょう。

Aさん(課税所得が300万円)の場合 :10万円×10%=1万円

Bさん(課税所得が600万円)の場合 :10万円×20%=2万円

※課税所得:収入から様々な控除(≒経費)をひいた金額

このように、医療費が同じでも所得が多い人が申告する方が戻ってくるお金が多くなります。
共働きの場合、医療費控除は夫婦のどちらがしても構いません。

収入が多い方が申請した方が、お得になる可能性が高くなりますね。

住民税の減額ってどういうこと?

住民税は所得に関わらず一律10%となります。
そのため、上記のAさんもBさんも10万円×10%=1万円の住所税が安くなります。

住民税は翌年6月以降に納めるため、所得税のように返ってはきません。
医療費控除の申告で安くなった後の税額を6月以降に納めることになります。
住民税が安くなると認可保育園での保育料が軽減される可能性もあります。←ココ重要!

医療費控除の金額が計算できたところで、申請の際に気をつけておきたいポイントを3つ解説したいと思います。

医療費控除の申請で気をつける3つのポイント

確実に医療費控除で税金を取り戻すために、以下のポイントに気をつけましょう。

領収書やレシートを取っておく

医療費控除を受けるには、領収書やレシートが必要となります。

ただし、バスや電車などの交通費の領収書は不要です。
交通費は通院の都度、メモを残しておきましょう。

5年間さかのぼって手続きが可能

確定申告の義務のない会社員が、医療費控除など払い過ぎた税金を取り戻すための
【還付申告】を行う場合、5年間はさかのぼって手続きを行うことができます。
もし申請を忘れた高額の医療費があれば、ぜひ申請してみてくださいね。

また、還付申告は確定申告の締め切りとは関係なく1年中申告できます。
還付申告のみの申請であれば次の年の1月1日から申告が可能なので、現時点で可能な医療費控除の申請は2016年~2020年の分です。

ちなみにさかのぼっての手続きは可能ですが、住民税については少し注意が必要です。
前回解説したとおり、所得税は支払い済みの税金が戻ってきますが、住民税は翌年6月移降に支払う税金が安くなる、という仕組みになっていました。

住民税の支払い金額が安くなる=住民税の所得割額が下がる ということになります。

例えば、0歳~2歳が保育園に通う場合の保育料は、この住民税の所得割額を元に算出されます。
こうした住民税の所得割額で影響されるような制度を利用する予定がある場合は、早めに申告をしておくことをお勧めします。
※住民税と保育料の関係についてはまた後日解説します!

なお、さかのぼって手続きした場合は住民税も所得税と同様、支払い済みの税金が戻ってきます。

ふるさと納税に注意

医療費控除と同時にふるさと納税を検討されている方もいらっしゃるかと思います。
医療費控除の申請を行う場合、ふるさと納税のワンストップ特例制度は利用できなくなります。(利用した場合は無効となります)

ふるさと納税と医療費控除の申請を同時に行いたい場合は、確定申告での手続きとなりますのでご注意ください。

セルフメディケーション税制という手も

今回は解説しませんでしたが、医療費が高額にならない年は「セルフメディケーション税制」という医療費控除の特例制度の活用も検討してみてください。
セルフメディケーション税制のポイントは以下のとおり。

  • 1万2,000円以上購入したOTC医薬品が対象
  • 健康診断や予防接種などの健康のための取り組みを行うことが条件
  • 医療費控除とどちらか一方のみ利用可能
  • そのため、通常の医療費は対象外となる

通常の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらを利用した方がお得になりそうか、計算して有利な方を選択することをお勧めします。

医療費控除の基本 おわりに

今回は医療費控除の基本について解説してみました。
不妊治療や出産費用など高額な医療費がかかった時、負担を少しでも軽減するために
ぜひ活用してくださいね!

医療費控除の申請は2019年からスマホでもできるようになっています。
オンラインでの手続きにもぜひ挑戦してみてください。

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